自分の商品がどうやってできるのか、縫製にしてもプリントにしても、
そしてその他たくさんの工程やパーツにしても、ずっと実際に見てみたいと思っていました。
私の拠点の関東と、生産の拠点の関西、コロナの影響もありなかなか実現できなかったのですが、ようやく先日プリント工場さんへ視察に伺うことができました。
そこでまずは、pilkkuのドットの軸となるオリジナルのプリントがどうやって刷られるのか、ご紹介していきたいと思います。
①プリント版の作成
まずはプリントする版を作成します。
小学校では一番最初に体験するプリントといえば紙の版画や木工版画でしょうか。
懐かしいですね。
プリント工場では、いろいろな技法のプリントが可能ですが、とにかく版がなければプリントができません。
プリントしたい柄をデータ化し、絵柄の風合いによって網目を調整して網戸のような形状の版を作成します。
強く色を出したい部分は網目が粗いもの、薄さや繊細さを出したい部分は細かい網目、といった具合です。
版は、生地の幅や、プリントの仕方に合わせて大きさが異なります。
ここでは、生地幅の広いもの(主にカットソー生地など)を多く扱っています。
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工場には、定番の版やメーカーオリジナルの版などが多数保管されています。
②プリントカラーの調合
次にプリントする染料の色を調合します。
水彩画でいう絵の具ですね。
水彩画だとパレットの上で色を混ぜたりする工程です。
見本刷りの際に調合した割合を指示書をもとに調合します。
(サンプル作成の段階で試し刷りをします。試し刷りで納得がいく色や風合いになるまで行います)
水彩画と違うのは、お洋服は何度も洗いますから、すぐに落ちないよう、糊の役目をするベースの染料に色を入れていく、という点です。
画像右側にある大きなバケツに入っている白いのがベースの染料です。
職人さんが、均一になるよう大きなミキサーで混ぜていきます。
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③プリント生地の準備
染料ができたら今度は生地の準備です。
水彩画でいう画用紙ですね。
生地は生地メーカーから紙製の芯に巻かれて到着します。
まずはその生地をきちんとシワなく延ばしていく作業を行います。
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実は次のプリント工程と機械は繋がっていて、このままプリントへと流れるのですが、まずは生地を延ばす工程を動画でご覧ください。
入っていく生地と、出てきた時の生地のハリが全然違いますね!
そしていよいよプリント工程へと入っていきます。
④プリント
ベルトコンベアーにセットされた生地は、プリント版にインクを装填してプリントしていきます。
その様子を動画でご覧ください。
版の上を機械が絶え間なく動いてプリントしている様子がわかりますね。
この版に一度インクを補充すると、30分ほどプリントできるそうです。
一回のプリントで1m弱くらい刷れているので、1回約3秒とすると600mも
1回のインク補充でプリントできる計算になります。
インクは様子を見ながら工場の方が装填します。
ちなみに、生地に色々な色が入ったプリントの場合(インクジェット・デジタルプリントを除く)、1回のプリントで刷れるのは1色ですから、この作業を何度も繰り返す必要があり、それだけ手間のかかったプリントなんだということがわかりますね!
色だけではなく、例えば、pilkkuでも使用される発泡プリント(ぷくっと凹凸感のあるプリントです)はまず発泡剤をプリントし膨らませてから色を乗せるので、2工程踏んでいるんですよ。
⑤乾燥
プリントされた染料は、水彩画と同じように速乾性ではありません。
不要な部分に生乾きのプリントがついたりしないよう、乾燥させていきます。
高温の温風にくぐらせ、一気に乾燥させます。
①台から生地をはがして温風エリアへ
②温風エリアから乾燥終了まで
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見学中に、pilkkuのマルチドットの試刷りを発見!
〇で囲んだところ、分かりますか??
このようにたたまれた生地は、別の工場でプリントチェックが行われたのち、またロール状にたたみ直し、裁断工場へと運ばれます。
そして、使い終わった版は、専用の洗浄機械で洗われて、保管されます。
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洗車機のような巨大な洗浄機械。
こうして、さまざまな工程を経て、プリントが出来上がっていきます。
久しぶりの工場見学、本当に楽しかったです。
そして、いつも思い通りの色を調合してくださる職人さんに感謝です。
これからも着てわくわくするような柄や技法を取り入れたプリント、もっともっと作っていきたいと思います!